言えなかったこと

12:45 改札のところで誰かを待っている風のおじさん 真っ白なスエットパーカーに スキニーと呼ぶにはゆったりだけど ストレートパンツと呼ぶにはピッタリしすぎな 真っ白なデニムのパンツ パーカーのむねのところに 「ホームアローン」の男の子の写真のプリ…

blossom

冬は春に追いやられる。春。すぐに冷める缶コーヒー。無駄な甘さ。いちごを嬉しそうに食べる私たち。知りすぎることの恐怖。知らないことへの過剰な期待。暇。論破。春は知らない街のようで、ひとりぼっち。どこまでも行けるのにどこにも行けない季節。江戸…

none

心がミゾミゾする気持ち。遅く来た思春期みたい。この感覚、おとなになったら懐かしく思い出すのだろう。優しい言葉を書きたい。 一歩ずつ春に向かうような季節。コンビニの店員さんの「おはようございまーす!」という明るい声にハッとした。 頑張りを披露…

turquoise

わたしは、物理的な意味で彼のことを追いかけてばかりいた。最後に会った夏の夜。とても暑い日だったはずなのにあの日の気温についての記憶はどこかに行ってしまった。 ヨーロッパみたいな石橋の柵に座って花火をしていた。わたしは線香花火がしたかったのに…

kosmos

風が冷たい秋の夜。三宮センター街。一口貰った煙草の味もあの日飲んだ甘すぎるカクテルの名前も忘れた。甘過ぎて飲めなくて、彼のジントニック(たしか)と交換した。うるさいところが苦手なわたし達は、端っこの机の下で手を繋いでいた。何を話したんだっけ…

バレンタイン

チロルチョコでも、もらった男の子は嬉しそうな顔をする。女の子は、今日という日は!と意気込んでチョコ男の子にあげるのより特別な見た目と味のするチョコを食べる。彼にチョコレートを渡したかった。義理チョコだよって、言葉に泣きそうなほどの好きだよ…